まず初めに 記事執筆のきっかけや理由
地域差はあるかもしれませんし、筆者の薬局での努力不足もあるかもしれませんが、まだまだ先発希望患者が多いため。
この記事では幅広くみなさまに知ってほしいことから、報酬点数など細かいことは極力省いて、医療関係者でない方にもわかるように記事にしましたのでご了承ください。
私の過去記事の中でも1番のボリュームになっています。
全部読んで頂ければ幸いですが、目次をご利用いただき必要なところだけジャンプしていただいても結構です。
伝えたいことが多くなってしまいました。。
結論 ジェネリック調剤の理由は大きく分けて2つ
国民医療費の増加を少しでも抑えるため
下記事項の別見出し参照
調剤薬局では「後発医薬品調剤体制加算」を算定したいため
調剤薬局も個人薬局や株式会社などあり、利益を追求しない慈善事業ではありません。利益を得なければ、人件費や経費の収支の問題などから薬局の運営が成り立たず、破綻し閉局や会社自体が倒産してしまいます。
現在調剤薬局では後発医薬品調剤体制加算というものが存在します。薬局の利益に直結する部分です。しかし、薬局が勝手につけていいものではありません。
簡単にいうと、「あなたの薬局は処方箋受付して、国民医療費の増加を抑えるためにジェネリックでの調剤に推進したので、この加算をつけていいよ」というもので、いうならば国からのお墨付きです。
この加算を算定している薬局では、いくら個人がその薬局で先発を希望して先発で調剤してもらったとしても、その患者にもこの加算が算定されます。
この加算の種類にもよりますが、3割負担の人で約60円〜90円、1割負担の人で約20円〜30円ほど毎回一つの医療機関お会計毎に上乗せされます。この金額に納得できない患者様は、加算を算定していない薬局に行ってもらうしかありません。
ただ、令和2年度のデータではありますが、80%以上のこの加算を算定している薬局が世の中で約65%程あることから、全く算定していない薬局を見つけるのはなかなか難しいと思われます。
※※上記を踏まえると、せっかく患者がジェネリックで調剤してもらって患者の一部負担金が下がっても調剤薬局での利益確保のために加算がついて意味ないんじゃないかと思いがちですが、病院のDrも利益確保に努めていますし、病院によっては、ジェネリックに積極的なところもあります。
それが、
後発医薬品使用体制加算
外来後発医薬品体制加算
一般名処方体制加算
などです。
詳しい説明は割愛しますので、直近で病院に受診された方はその領収証をご覧ください。
このままの国民医療費が続くと、、
↓下記は以前私が調べたものです
【参考】
令和3年9/9現在、厚生労働省ホームページでは下記までが公開あり
平成30年度(2018年)の国民医療費は43兆3949億円
人口一人当たりの国民医療費は34万3200円
医科31兆3251億円
歯科2兆9579億円
薬局7兆5687億円
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/18/dl/data.pdf
下記は2017年9月健康保険組合連合会発表の推計
2025年には国民医療費は57兆8000億以上になる見通し
2015年の保険料負担20.8兆円から2025年には27.8兆円になる見通し
よって個人消費や企業活動など経済への影響が懸念され続いている
また、このままだと420ほどある健康保険組合の1/4が収支が保てず解散の危機であり、解散すれば国の財政負担が更に生じて、医療の破綻に陥る
https://www.kenporen.com/include/press/2017/20170925_1.pdf
要約すると、、
・このままでは国民皆保険制度は間違いなくいずれ破綻します
・そして手を打たなければ、今後もっと社会保険、介護保険料は間違いなく上昇し続けます。
そもそもジェネリックって?
スーパーでいうところの、プライベートブランド(PB)のような事です。
先発医薬品とは?
同じくスーパーでいうところの、有名なメーカー商品の事です。
ジェネリックって危ない?変な薬?同じなの?
昔は「ゾロ品(ひん)」と呼ばれていたので、心配になる人が多いのはその名前の名残かと思います。
ただし、結論からいうと危なくないです。変な薬じゃないです。同じ「成分」の薬です。国がきちんと認可した医薬品です。
薬局も調剤するにあたり、適当な医薬品を選択しているわけではありません。流通状況や、販売メーカーなど吟味しております。
薬剤師や医療スタッフを信じてほしいです。
入院時処方や院内処方で先発医薬品が多い訳
・これは一概には言えませんが、病院の採用医薬品の影響だと思います。大病院や、クリニックでは院外処方箋を扱う薬局に比べて、医薬品在庫のスペースの問題なども踏まえて先発しか置いてないことが多いためと考えられます。もちろん、GEを多く採用している院内調剤も存在しますので、あしからず。
子育て支援・重度心身・ひとり親公費制度
・自治体にもよりますが、基本一部負担金は0円で、発生したとしても月〇〇円までと上限があるはずです。
つまり、一部負担金がゼロというのも元々は私たちが払った保険料や税金であり、そのお金だって無限にあるわけではありません。今の子供たちそして次の子どもたちが大人になった時を、今の大人たちが考える必要があるわけです。自分だけがいいという世の中の状況ではないわけです。
生活保護を受給している患者
これは原則ジェネリックでの調剤になります。患者がいくら先発を希望していても、処方箋上に変更不可の指示がない限り調剤薬局はジェネリックになります。
それでもどうしてもジェネリックを使いたくないという方
病院で受診時、先生に処方箋に先発で変更不可つけてくださいと伝えること
ジェネリックに理解のある医師なら何故先発にしなければならないのか、患者に理由を尋ねると思います。「ジェネリックは効かないから」とおっしゃる患者は薬剤師の立場からいうと理解に苦しむところです。前述した通り、主成分は同じなので、効き目は同等が期待できるはずなので。
薬局で来局したら、先発希望と伝えること(上記の生活保護患者は除く)
ただし、先発医薬品の在庫が少ない薬局のが多いです。薬局によっては、ほかの薬局を紹介されることも実際にあります。
補足 現場での出荷調整状況について
現在いろいろな理由がありますが、メーカーや卸からの出荷状況は筆者の薬剤師歴20年でも過去最悪レベルです。
先発だから在庫がない、ジェネリックだから在庫があるとかじゃないです。どちらでも取り寄せできない医薬品は多数存在します。
2022年8月現在では、ロキソニン錠やカロナール錠でさえ出荷調整になっており、調剤薬局では在庫確保に苦労しています。
まとめ
どうでしょうか?
先発にしろジェネリックにしろ、処方箋で先発かジェネリックかで患者に選択肢がある場合があるのは事実です。
以上を踏まえてもそれでも先発医薬品を希望しますでしょうか?
もし今後また天災があって、人々の医薬品供給がままならない時、「私は先発しか使わないので、ジェネリックならいらないし使用したくない」と言えますか?「災害が起きてから考えればいいじゃん?」というのは、未来の子供たちの医療費を考えない大人のわがままと私は思っております。
ニュースでも時折報道されていますが、薬の供給がままならない実状を多くの方に知っていただきたいと思い、記事にしました。
コロナ患者急増に伴い、患者1人のエゴに寄り添っていく時間さえ惜しい時もあります。どうか、1人でも多くの方が医療機関に理解を示して頂ければと思います。
コメント